2020/06/30 18:49
四季
それは、日本が世界に誇る自然の豊さです。
そんな島国日本は、国土の3分の2が山林と言われる山林大国でもあります。
自然の中には、僕たち人間以外にたくさんの生物が息づいています。
僕たちの目に見える大きな生き物から、微生物のような目に見えない小さな生き物まで。
それぞれの生き物がこれまで多くの時をこの環境の中で生きてきました。
物語が題材に選んだ、ニホンジカもそのひとつです。
冬のニホンジカ
冬の山は、広葉樹の落ち葉が落ち、暗く沈んだイメージを持つでしょう。
実際に、日照時間は短く、太陽光の光の強さも夏と比べ弱いです。
そのためか、山の中は日中であっても、暗く、どんよりとした世界が広がっています。
ニホンジカは、草食動物です。
草木を食べて、生活します。
今でさえ、天敵となる動物が少なくなりましたが、ニホンオオカミなどが生息していた時代には、鹿は格好の獲物でした。
そのため、出来るだけ天敵から身を隠すため、秋口〜春先になるまで毛皮を落ち葉の落ちた暗い山の中に溶け込ませていきます。
多くの動物にとって、シカはあたりに生えている木々、
もしくは、落ち葉の中に溶け込み、見えません。
天敵が現れた時は、ある程度の距離まではじっと身を潜め動かず、
一定の距離に近づいたら即座に逃げ出す。
そうして、身を守ってきました。
夏のニホンジカ
夏の山は、青々と茂った広葉樹の葉っぱの間から、さんさんと輝く太陽の光が差し込みます。
日照時間は長く、太陽光の光の強さは眩しくて目を背けてしまうほど。
なので、日中はとても明るく木々の間から入る木漏れ日も、地面に反射してくるような気さえします。
そんな季節になった時、冬の時のような暗い色だとどうでしょう?
目立ってしまい、天敵の格好の餌食となってしまいます。
そのため、出来るだけ天敵から身を隠すため、春の終わり〜秋口になるまで毛皮を山の木漏れ日の中に溶け込ませていきます。
多くの動物にとって、シカはあたりに生えている木々、
もしくは、木漏れ日のあたる地面にようにしか見えません。
この模様を”バンビ模様”という人が多いですが、
基本的に日本に暮らすシカのほとんどは季節に合わせて、夏皮・冬皮と衣替えすることで身を守っています。
小鹿がこのような模様をしているのは、出産の時期が夏前となっており、その小鹿も冬になれば、その他の鹿と同様に冬皮になるのです。
OCHIBA と KOMOREBIの物語
鹿の生きる物語、いかがだったでしょうか?
これは、ニホンジカにとってたったひとつのエピソードでしかありません。
ただ、私たちは、
日本という島国の中で、数千年前から人間と共に暮らしてきた鹿がどのように生きてきたのか、感じていただきたいのです。
ここ数十年で、
日本列島の鹿の数は10倍にも膨れ上がったと言われ、
そのため、全国各地で鹿による食害被害が深刻化しました。
鹿と我々は、
1000年以上昔から、共存共栄してきました。
食文化として、
衣類として、
また、生態系を豊にする一員として。
そんな鹿をただ捕獲し、駆除し、焼却・埋設し、
減らすだけ。
そんなことで果たして良いのでしょうか?
我々、物語では、
そんな鹿の生きた物語をみなさんの物語へつないでいくことで、
共に感じていただきたいのです。
カーミットチェアカバー OCHIBA (落ち葉)
昨年5月にリリースした、第一弾商品である、
冬鹿毛皮のカーミットチェアカバー『OCHIBA』は、
こげ茶色の毛皮に身を包み、温もりを感じていただいたり、触れて楽しんでいただいたりできる商品となりました。
ご購入いただいた方の手元に届いたときは、
『生き物が出てきたみたいでびっくりした』
とのご意見などをいただくほど、そのままの良さを活かした商品です。
また、ありがたいことに、店舗にて販売をしていただけるところも見つかり、
少しずつ知っていただける人も増えてきました。
カーミットチェアファブリック KOMOREBI (木漏れ日)
そして、この度、
新たにリリースさせていただきます。
夏鹿毛皮のカーミットチェアファブリック 『KOMOREBI (木漏れ日)』は、
色鮮やかな茶色の中に、規則性があるようでないアーティスティックな白の斑点模様が印象的な可愛らしい商品です。
椅子との装着部分には、
自然に害のない植物の成分を利用したタンニンなめしの革(無染色)を利用し、
縫い糸以外は、100%鹿を利用した商品となっています。
KOMOREBIは夏革の特徴より、厚みもなく、
クルクルと巻いていただくと、片手にすっぽりとおさまる小ささです。
OCHIBAは冬革の特徴から、重く、ずっしりと、厚みのある商品でしたが、
対照的に、あつい時期のキャンプにも利用していただける商品となりました。
付属の木箱に入れていただくと、
直径7cm×7cmの箱の中にすっぽりと収まります。
また、この木箱も、間伐材を利用して作っています。
間伐されない山では鹿の餌となる下草が生えにくい状態になっている場合が多く、
そのため、里に降りて来て獣害を起こしてしまうということも言われており、
鹿と山の木々との密接な関係を表現しました。
そんな、こだわりにこだわり抜いた商品が、
生まれました。