2019/11/27 16:28
近年、
毛皮に対する抗議運動が世界中で起こっている。
"NO FUR"
ファッションのために、毛皮を利用するのはやめよう。
世界の多くの有名ブランドがこうした動きに対して、共鳴し、
リアルファーを使わない商品づくりを始めている。
そんな最中、
僕たち物語はリアルファー(鹿の毛皮)を商品として販売することを決めた。
そこには、僕たちの様々な想いと信念がある。
年間60万頭の命が使われないまま廃棄処分
日本では、元来守り神だとか、神聖な生き物として長い時代を共に過ごしてきた。
今でも、奈良公園や厳島神社では、誰も鹿を傷つけようなんて思わないから鹿たちもゆったりといきているし、
人間側も、鹿せんべいなどを買って与えることが当たり前である。
しかし、
ここ数十年で、様々な生態系の変化によって鹿の数は急激に増え、
里山の田畑を荒らしたり、何十年とかけて作ってきた森林の杉やヒノキなどの植林を枯らしている。
また、増えすぎた影響により、
他の動物たちの餌が山から枯渇し、別の動物たちも山から里に降りてくるようになってしまった。
これまでいい距離感で付き合ってきた生態系が崩れ、
鹿は僕たち人間にとって【害獣】になってしまったのだ。
日本国で鹿の害獣駆除対策が様々な方法でとられていて、
現在1年間で約60万頭の鹿が駆除の対象として捕獲・駆除されている。
ジビエブームが表舞台に立ってきた昨今でも、
その利用率は1割程度。
革の利用は1%にも満たない。
鹿の美しく生きた証
こちらの写真。
どちらも、同じ種類の鹿である。
鹿は、草食動物であるため、肉食動物から身を守るすべを自然ととってきた。
その1つが、季節ごとに毛の模様替えをして、自然の中へ溶け込み、外敵から身を守ることである。
左が、夏の鹿革
草木が生い茂り、太陽の光が差し込む木漏れ日の中を隠れるために、
白い斑点模様を木漏れ日、茶色い毛皮が地面や木々の中に隠れるようにしている。
逆に右の冬の鹿革は、
草木が枯れ、落ち葉が落ち、暗く沈んだ山の中に隠れられるようにこのような黒っぽい色になる。
そんな美しく生きた証をただ駆除して、廃棄する。
それでいいのか?
・・・・・
エシカルファーという考え方
さて、今回我々がリアルファーを利用した商品を販売したことの背景が少しわかっていただけただろうか?
確かに、ファッションに利用するために、
毛皮をとるためだけに動物を殺すというのは僕たちの考え方にはそぐわない。
それこそ、"NO FUR"と訴えたい。
しかし、様々な理由から、
数を減らさなければならないとされ、すでに60万もの命がとられているにも関わらず、何にも利用せず廃棄している現状には目を背けることはできない。
将来、
殺すだけじゃない共存共栄の道はあるのだろうし、それを見つけるために、動いていきたいと思うが、
今日もこの瞬間に殺され、廃棄処分されていく命の物語を伝えたい。
それが、一生懸命生きてきた彼らにとって恩返しであり、
エシカルファーという考え方の始まりであると思う。